長野県下伊那郡大鹿村中央構造線の上で過ごした日々。

地域おこし協力隊員の雇用関係

地域おこし協力隊員の雇用関係と社会保険

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多くの自治体では地域おこし協力隊員は地位:「臨時職員」、「非常勤職員」社会保険:社会保険(健康保険、厚生年金保険)雇用保険、労働者災害補償保険に加入となっているところも多いのです。が、

大鹿村の地域おこし協力隊員は「村との雇用契約は存在しないものとします」となっており社会保険は加入なし、国保、国民年金です。

任期は1年ごとの更新で最長でも3年間、休日出勤、規定時間外作業もありますが手当、代休等がない、雇用保険、労災保険もない、社会保険未加入、労働基準法が適応されないなど、これでは先行き不安です。

疑問に思い尋ねてみました。

  1. 労働基準法第9条から呼称はどうであれ、勤務場所と時間が指定されており(1ヶ月の実際の拘束時間が225時間、時給711円で最低賃金法金額より低い)などの勤務実態からして労働者にあたり、労働基準法が適応されるのではないか
  2. 労働者ならば健康保険法 第3条、厚生年金保険法 第6条、労働者災害補償保険法 第3条、雇用保険法 第5条、により社会保険・雇用保険の被保険者資格があるのではないか
大鹿村役場の回答

村役場で尋ねたところ
「あなたは雇用関係がない自営業者」「加入したければ自分で加入して下さい」との回答。

社会保険と厚生年金に個人で加入できるのでしょうか?

厚生労働省 長野労働局 飯田労働基準監督署の回答

飯田労働基準監督署に相談したところ
「雇用契約書が無いので雇用関係ではない。」「勤務場所、時間が指定されていても委嘱=業務委託であり労働者ではない。よって労働基準法は適用されない。労災保険、失業保険、健康保険や厚生年金も入れない」との回答。

労働相談には雇用契約書が必要なようです。

飯田年金事務所の回答

日本年金機構 飯田年金事務所に相談したところ
「雇用を結ばないので、個人で事業をしているのと同じ。」「会社などのように雇用されているわけではない。よって、社会保険に入ることは難しい。」との回答。

名称で判断するようです。

総務省 関東管区行政評価局 首席行政相談官室の回答

総務省の「行政相談」
「地域おこし協力隊の身分及び処遇の決定については、各市町村が自らの地域事情や財政事情等を考慮して決める自治事務に該当するものであること、また、採用市町村においては、応募者に対し、事前に募集要綱等により地域おこし協力隊の隊員の身分及び処遇について明示しているとみられることから、現段階において、国が強制すべきものではないと考えられます。」との回答。

地域おこし協力隊は「労働基準法遵守は個別事項、雇用関係無しで問題ない」との見解でした。

長野県 県民ホットライン(知事へのご意見)の回答

県民ホットライン(知事へのご意見)へ「勤務実態と雇用・社会保険加入について質問」に対する回答、「県から村への指導は出来ないが社会保険・雇用について質問・要望があった事を村へ伝えます」中間報告「村の担当者に名前は出さずに申し入れましたが、誰からの意見かすぐに解ってしまいました」

その後、「村からの回答は『雇用は出来ない、講演や出版で稼いで下さい』との事です」と長野県からの回答でした。

村、県からの回答は論点が違っています。「勤務実態からして労働者であり、労働基準法遵守、社会保険加入が義務付けられるのでは」との問いに対する回答になっていません。

労働基準法第9条

この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

とありますが、相談先での判断はいずれも「地域おこし協力隊員は雇用関係のない業務委託」との見解でした。

以上が今までの経緯です。

ご心配頂いた皆様ありがとうございます。

又、募集要項を見ても自治体によってかなり差があるように思います。地域おこし協力隊への応募をお考えの方はに仕事内容、処遇、雇用関係、社会保険の有無など、募集要項をよく吟味比較することをおすすめします。

追記、退任は突然に

地域おこし協力隊は1年ごとの契約です。最長3年となっていますが、村から更新していただけない場合、その年度で契約終了=失業となります。失業保険ももちろんありません。

村営住宅も契約終了時に出て行かなければなりません。前日まで勤務し、翌日出て行くという、ほんとにあわただしい引っ越しでした。

ご心配頂いた皆様、お世話になりました。

参考リンク

地域おこし協力隊員について思うこと
ひろしまのオヤジンさん、解りやすい解説ありがとうございます。

東洋経済オンライン>ワーキングプアを自治体が作っている
-引用-
非正規の公務員は、どの職種を取っても賃金水準が年平均200万円を超えていない。週40時間労働に換算してそうなる。国税庁の調査では日本人の平均給与は407万~408万円。その半分以下が、相対的貧困の水準の尺度となる収入だから、まさに貧困層に該当してしまう。いわばワーキングプア層を自治体、つまり「官」が作っている。官製ワーキングプアといわざるをえない。
-引用はここまで-

東京新聞>>非正規公務員(No.466) 3人に1人 官製ワーキングプア
-引用-
非正規公務員の六割は、勤務時間が正規と同じか四分の三以上でした。この場合、民間なら年金、健康保険は正規と同様の厚生年金、健康保険組合などに加入します。しかし、非正規公務員は、独自の規定があり共済に加入できません。
-引用はここまで-

労働基準
厚生労働省 労働基準
「安心、快適に働くことができる環境づくりを目指して
労働条件の確保・改善、労働者の安全と健康の確保、的確な労災補償の実施、仕事と生活の調和の実現を進めています。」とのことです。

大鹿村例規集

なぜか大鹿村地域おこし協力隊設置要綱では「平成23年4月1日から雇用契約を適応しないものとし、「任用」を「委嘱」と読み替え」となっています。

第9編 住民生活/第5章 地域振興
大鹿村地域おこし協力隊設置要綱

–引用–
(条件)第6条 協力隊員の勤務及び賃金等の条件については雇用契約によるものとする。
–中略–
附 則(平成23年8月31日要綱第3号)
(施行期日)
1 この要綱は、公布の日から施行し、平成23年4月1日から適用する。
(経過措置)
2 改正後の要綱について、平成23年度以降採用の地域おこし協力隊については、第4条第3項及び第6条について適用しないものとし、「任用」を「委嘱」と読み替え、地域おこし活動の対価として報償を支払うものとする。
–引用ここまで–

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