「最近の活断層地震と伊那谷の活断層を再検討する-上伊那-」
1月10日(土)、伊那谷自然友の会による「最近の活断層地震と伊那谷の活断層を再検討する-上伊那-」に参加しました。
飯田市美術博物館顧問で高森町在住の理学博士、松島信幸さんの案内で伊那谷断層帯周辺の地形観察を行いました。
今回は上伊那(南箕輪村・伊那市・駒ケ根市・飯島町・中川村)で見られる小黒川断層、西町断層、田切断層などの活断層による地形を中心に、松島さんの解説を聞きながら観察しました。
参加者は13名(伊那谷自然友の会会員9名、非会員2名、案内1名、事務1名)で乗用車3台に乗り合わせ、地形が観察できる場所を10ヶ所ほど巡りました。
南箕輪村神子柴・小黒川断層
断層運動によってできた崖を断層崖(だんそうがい)と呼びます。今回は主に断層崖による地形を見て行きました。
宅地や道路建設のための工事で地層が露出し、その際に調査を行った結果、活断層ということがわかったそうです。
伊那市西町・西町断層
ただし、現在はほとんどの露頭がコンクリートや石垣などで覆われ、道路や住宅地となっています。
崖によって周囲より1段高くなっていたりするのですが、見ただけではわかりにくく、解説を聞かなければ活断層かわかりませんでした。
飯島町赤坂・田切断層
今は石垣で見えないが、かつては露頭があった
伊那谷と天竜川
一方、伊那谷では天竜川の影響が大きく、川によって削られてできた地形が発達しています。それらは川と平行になるため、例えば川と垂直になっている崖は断層運動による可能性があるというように判断するそうです。
また、天竜川に関して、川の東(竜東 りゅうとう)と西(竜西 りゅうさい)では西の方が圧倒的に活断層が多いのですが、人口が多いのも西側だそうです。
道路工事などで露頭が現れても、良好な状態で保存されることは希で、ほとんどはコンクリートなどで埋められ、道路や宅地になっているそうです。
駒ケ根市・田切断層、十二天露頭
今回訪れた中では、整備され説明看板も設置されている露頭は、駒ケ根市にある田切断層の十二天露頭のみでした。
田切断層、火山灰層の上に礫層
例えば土地を買い取り、見学できるように整備・保存していくことはとても困難ですが、露頭は過去の様々な情報を含んでいるため、後世に伝えていくことも必要だと感じました。