2月14日(土)、伊那谷自然友の会の行事「活断層を地形で見る-下伊那北部-」に参加しました。飯田市美術博物館顧問で高森町在住の理学博士、松島信幸さんの案内で伊那谷の地形観察を行いました。1月に上伊那で実施した観察会の続きで、今回は上伊那郡中川村、飯島町、下伊那郡松川町、高森町、飯田市で見られる断層による地形を中心に、松島さんの解説を聞きながら観察しました。参加者は14名で乗用車4台に乗り合わせ、地形が観察できる場所を巡りました。
中川村の牧ヶ原という地区では、断層か天竜川が作った段丘か、まだ決着が付いていない地形を観察しました。耕作地の中にある、低い崖のような、段差になっている地形です。現在は水田や畑ですが、地名に「牧」とあることから、かつては牧場だったそうです。単純な段差ではなく、複雑にうねっているような地形で、断層運動で波打ったのか、川の浸食で波打ったのか、判断は難しいそうです。
飯島町の高遠原では、畑の中に断層と見られる段差がありました。また、付近を流れる前沢川を横切るような段差も、断層によるものだそうです。前沢川が運んできた花崗岩も観察できました。花崗岩は風化しやすく、すぐに角が取れるため、10mも流されれば丸くなるそうです。
日本の寺や神社は、断層の上に建っているものがとても多いそうです。高森町の瑠璃寺(るりじ)や牛牧神社(うしまきじんじゃ)も断層の上にあり、特に牛牧神社は断層崖の地形を利用して造られているそうです。また、造りやすい地形であることの他、断層からは水が湧くことも寺や神社があることに関係していると考えられます。
松島先生からは地形や地質に関することだけでなく、地名の由来や昔の集落の様子などの話もあり、とても興味深い観察会となりました。また、今まで川による段丘と言われていた地形が断層によるものであったり、未だ成因の決着が着いていない地形もあるなど、伊那谷の地形に一段と興味が湧きました。今後も伊那谷について学んでいきたいと思います。