博物館法上の博物館とは
日本の博物館に関する法律に博物館法がありますが、もっとも有名な博物館、東京国立博物館、国立西洋美術館、国立科学博物館などの国立博物館、実は博物館法に基づく“正規”の博物館ではないのです。
皆さんはこのことをご存じでしょうか?又、どうしてなのでしょうか?
博物館法によると
-引用-
(定義)
第二条 この法律において「博物館」とは、歴史、芸術、民俗、産業、自然科学等に関する資料を収集し、保管(育成を含む。以下同じ。)し、展示して教育的配慮の下に一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資するために必要な事業を行い、あわせてこれらの資料に関する調査研究をすることを目的とする機関
-以下略、引用ここまで-
とあります。
日本の博物館は一般的には博物館、美術館、文学館、歴史館、科学館、水族館、動物園、植物園などの総称として用いられているように思いますが、博物館法上の博物館は「登録博物館」「博物館相当施設」と博物館法の適用外となる「博物館類似施設」の3つに分かれます。
「平成23年10月の数字では、登録博物館が913館、博物館相当施設が349館、博物館と類似の事業を行う施設が4,485館、合計で5,747館」となっているそうです。正規の登録博物館は全体の約16%にすぎません。
どうしてでしょうか?一番の原因は登録博物館が「地方公共団体、一般財団法人、一般社団法人、宗教法人、日本赤十字社または日本放送協会が設置した施設で、都道府県教育委員会の審査を受けたもの」「公立施設の入館料は原則無料」などの理由により登録博物館にならない博物館が多数を占めているからと思われます。
東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館は独立行政法人国立文化財機構。国立民族学博物館は国立大学法人法を根拠とし、日本科学未来館は科学技術基本法を根拠とするなど設置者や法根拠もさまざま。
博物館の名称や学芸員の業務範囲のあいまいさなど、昭和26年に制定された博物館法は現在の博物館現状と合わない部分が多くなっていると言わざるを得ません。